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2013年7月31日 (水)

「いかん、見つかったら怒られる」

伊達政宗公が或る時お話されたことに

「あれは家康公の天下の時のことだ。私は鷹狩に出たのだが、私の鷹場と公儀の鷹場の境まで進んでも、獲物が思いのほか少なかったので、公儀の鷹場にこっそり忍び入ってな、そこで鳥を3つか4つ獲り、その上鶴まで合わせて獲った。

が、その時だ。私の鷹場の方から、大勢が鷹を使っている様子が見えた。不審に思っていると、それはなんと家康公の鷹狩の一団ではないか!これはいかん、見つかったら怒られる!
我々は慌てて大騒ぎし、鷹と鳥を隠して逃げ出した。

ところが家康公は御馬を早め、空堀の中に入られ、人馬を下知して皆堀の中に呼び込み、堀に紛れて急ぎ御退きになられた。

私はその時、御退きになった先に鳥があってお急ぎになったのだと思ったが、とにかく我々はこのラッキーに竹林に紛れて隠れ逃げた。

その後、家康公が江戸にお帰りになったので出仕すると、私に仰ったのは

『伊達殿、あの時私は其方の鷹場に盗み入ったのだ!しかしそこで其方の居るのを見つけ、
これはまずいと、つい堀に紛れて逃げてしまった。こんな事は私の一代にないことだ!
しかしこの様に降参した上は、どうか許してほしい。』

なんと謝罪されたのだ。私はこれを聞いて

『さては、そういうことでござったか!早く見つければ是非捕らえて曲事に出来たのに!

…ではありますが、実は私も、その日は公儀の御鷹場に盗み入って、家康公の御成を見つけ、慌てて逃げ退いたのです。』

と正直に申し上げた。すると家康公は

『さては、そう言う事だったのか!そういえば今考えれば、其方も竹林の影に隠れていたなあ。私に気を使って隠れたのかと思い、猶急いで息を切って逃げてしまったよ。
あの時互いにこの事を知っていたなら、逃げながらも息を休めて、ゆったりと退けたのに。
とにかくこの事は、双方に咎ありだな!』

そう、どっとお笑いなされた。御前に伺候の衆も、腹を抱えて爆笑していたよ。」

と物語されたのである。
(政宗公御名語集)

家康と政宗、鷹狩でお互いにヤバイと思って逃げ出すというお話である。
しかし政宗、せっかく隠れたのにバレバレだったのですねw

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